伊藤忠商事の元会長で中国に豊富な人脈を持つという丹羽宇一郎氏が中国大使になりましたが、このほどの中国時報(台湾の新聞)によれば、丹羽大使は、アメリカとの関係だけを何よりも優先させてきたこれまでの日本の外交姿勢よりも、これからは成長に衰えを見せない中国との関係をより良好なものにしていくことが重要だと発言しているそうです。
また昨日は、アメリカ金融大手のモルガン・スタンレーが、韓国の経済成長見通しを上方修正し、韓国の今年のGDP(国内総生産)成長率は6%になるだろうと発表しています。
政治主導を標榜する日本の民主党政権も、中国や韓国との関係を重視する姿勢を強調してきていますが、日本経済がどうかというと、まだ何も結果は出ていないのかもしれません。
筆者が最近読んだある本によれば、オバマ大統領自身も中国によるアメリカ経済への支持を胡錦濤さんに懇願しているんだそうで、こうした新しい政治の力関係は、アメリカに限らず、ヨーロッパもアジア諸国もアフリカも、すでに世界中が中国の経済力に期待するという時代に入っているといってよいのでしょう。
もっとも、否定的だったり悲観的だったりする向きがないわけでもありませんが、中国の将来をどっちに予測するかというのは、予測する人の視点が主としてどこにあるか、立場がどこにあるかによるものだろうと思われます。
中国といえば共産党、共産党といえば一党独裁、一党独裁は悪いこと、実際にチベットやウイグル自治区などで弾圧があるんだから、このまま中国が台頭するのは悪いことだ…というような視点の置き方ですと、中国が成長を続けることは面白くないでしょうから、どんな材料があっても肯定的な見方はできなくなります。同時に、中国の成長を喜ぶような論調には声を荒らげて反論したくもなるでしょう。
特に私たち日本人というのは、ものごとを善悪二元論で考える習慣を大事にしていたりもしますから、中国の政治体制は善か悪かと考えて、簡単にいえば「悪だ」と判ずるシンプルな思考に疑問を持たない人も少なくありません。しかしこのようなシンプルな思考は、時として重大な失敗をもたらします。思考方法がシンプルであることは誰にも魅力ではあるんですが、シンプルな思考によって、思考で悩んだり苦労したりすること自体を嫌うようになりやすいですから、思考の停止や怠慢になって思考よりも結論が先に来てしまいやすくなります。そうなると、情報を精査することも億劫ですから、事実を冷静に見ることもできなくなってしまいます。事実よりも自分の信念だというと一見かっこいいみたいですが、それでは自分の信念と事実との間にあるべき大事な接点すら失いかねません。




