NHKハイビジョン特集 『春節大移動 〜中国・世界最大の里帰り〜』
巨大ターミナル広州駅を舞台にしたドキュメンタリーです。内陸部へと向かう列車の切符を握りしめて、旧正月を家族と祝おうという人々。その数は、私たち日本人には想像もつきません。
ルールとマナーでは世界一ともいわれる日本から見ますと、足の踏み場もないほどにごった返した帰省ラッシュの様子は「めちゃくちゃ」とも映ります。しかしそこにはドラマがあります。
人間がいっぱいいればドラマもあって当然だろうとも思われるかもしれませんが、そこは中国、日本とは違います。
一番大きく異なるのは、中国には「ルールがなくて人間関係がある」つまり「人治社会」であるという点です。日本は「人治社会」ではなくなって、ルール・原則がなによりエライ社会になっていますから、「人治社会」でどうしたらいいか、もはや想像することも難しくなっています。
ドキュメンタリーで紹介された驚くべきエピソードにこんなのがありました。
赤ん坊を抱えた若い夫婦が、駅舎の外で切符と財布をすられてしまいました。切符がないとなれば、公安に届けるぐらいしか打つ手はないのが日本でしょう。切符すなわち乗車許可証であって、それがなければ絶対に乗車はできないというのがルールだからです。
ところがそこにはボランティアの若い女性たちがいました。彼女たちは何度も表彰されている優秀な駅員を探してくれました。その駅員も女性なんですが、目の不自由な乗客の面倒を見ながら、列車の車掌にかけあってくれて、とうとう夫婦と赤ん坊を切符なしで乗車させてくれたんです。夫婦は駅員にお礼をしようと思ったんですが、何もありません。そこで自分たちの赤ん坊が写っている写真をあげました。涙なしには見られない光景でした。
日本人である私たちがつい敬遠してしまう「人治社会」がここにあります。




